さて、プロ野球の元監督、野村克也さんの著書『野村ノート』の冒頭に、このようなことが書かれています。
〜おかげさまで〜
夏がくると冬がいいという、冬になると夏がいいという
太ると痩(や)せたいという、痩せると太りたいという
忙しいと閑(ひま)になりたいという、閑になると忙しいほうがいいという
自分に都合のいい人は善い人だと誉め、自分に都合が悪くなると悪い人だと貶(けな)す
借りた傘も雨があがれば邪魔になる
金をもてば古びた女房が邪魔になる、世帯をもてば親さえも邪魔になる
衣食住は昔に比べりゃ天国だが、
上を見て不平不満に明け暮れ、隣を見ては愚痴(ぐち)ばかり
どうして自分を見つめないか、静かに考えてみるがいい
いったい自分とは何なのか
親のおかげ、先生のおかげ、世間様のおかげの塊(かたまり)が自分ではないのか
つまらぬ自我妄執(じがもうしゅう)を捨てて、得手勝手(えてかって)を慎んだら世の中はきっと明るくなるだろう
おれがおれがを捨てて、おかげさまでおかげさまでと暮らしたい
いかがでしょうか。
野村さんはこの言葉にふれて、はっとします。20年以上監督を続けてきて、今の選手に最もかけているものは、「感謝の心」にほかならないと気がつくのです。そして、この「感謝の心」こそが、人間が成長していくうえで最も大切であり、そうした個々の集大成がチームとしての発展につながっていくと記しています。
私たちは、さまざまな人やものに生かされています。天地自然はじめ、ご先祖様、父、母、兄弟、友人、先生。あるいは、病院、警察、消防、電力、ガス、水道、電車、バス……。さまざまなご縁にお世話になっています。
うまくいった時は、そのご縁を思い出して、感謝をしましょう。「おかげさまで ありがとう」と。
ここまで読んでいただいた皆さまに、よきご縁がありますように。 合掌