『これがあると、かれがあり、
これが生まれることで、かれが生まれる。
これがなければ、かれがなく、
これが滅びることで、かれが滅びる。』
こういうことです。
抽象的でなにを言っているのかさっぱり分からないことでしょう。
そこで、「これ」や「かれ」を別の言葉に置き換えてみましょう。
「日本の警察や消防があることで、安全が生まれている。」
ふむふむなるほど。ところで皆さん、日本は国土の約7割が森林であることを知っていますか。日本の森林保有率は、熱帯雨林を除くと世界でも五本の指に入るほど高い。つまり日本は奇蹟の自然王国なんです。このように豊かな森林が生い茂っているのは、なんと日本から5000qも離れたヒマラヤ山脈に原因があるのです。
ヒマラヤ山脈に当たった偏西風は北と南に分かれます。南にそれた風は、インド洋や太平洋の湿った空気と混ざり合って、日本の近海で、北にそれた風と再びぶつかります。その時、梅雨前線が発生して、長雨を降らせます。そうやって日本の豊かな森林の形成に、ヒマラヤ山脈が大きく影響しているのです。
「ヒマラヤ山脈があることで、梅雨前線が生まれ、
梅雨(つゆ)があることで、日本の森林が生まれる。
そして日本の森林があることで〇〇が生まれる。」
と、このように置き換えられます。
雨が続くことを皆さん嫌がりますが、梅雨前線は日本に大きな恵みを与えているんですね。
また、ほかにも様々なものに置き換えられます。
「学校があることで、私は読んだり書いたりしている。」
シャンティ国際ボランティア会の報告によると、会が支援している中東アフガニスタンの小学生就学率は55%だそうです。十分な教育が受けられなかった子は、文字の読み書きができません。字が読めないので、食事や医療の情報が充分に得られなく、栄養失調や感染症になって命を落とすこともめずらしくないそうです。
一日三回食後に3錠服用ということばの意味を理解できるのも、平和に学校へ通えたことで身についているといえます。
『先祖が生まれたことで、父母が生まれ、
父母が生まれたことで、私が生まれる。
そしてあなたと私が生まれなければ、この子はいない。』
あらゆるものは、種々の「因(=原因)」と「縁(=条件)」が複合し、融合し、そしてみな依存して誕生し、生存し、流転(るてん)し、生滅し、そして空(くう)に帰す。
そしてまた、空(くう)から何かの「因(=原因)」と「縁(=条件)」が和合(わごう)して形あるものが誕生し、生存し、流転し、生滅し、そして空(くう)に帰す。この繰り返しが世間(=私たちが住む世界)である。
お釈迦さまは、これを「ものはみな縁起(縁滅)している」と悟られたのです。
さあ皆さん、お盆中はご先祖をお迎えし、語らい、感謝のもてなしをしましょう。
(参考:『仏典のことば』 田上太秀著
『日本列島 奇蹟の大自然』NHKスペシャル)